ソウル市内に掛けられた「ジャパン・ボイコット」の垂れ幕は、武藤工業の印刷機でしか作れないということが報じられると、さすがに失笑するしかなかった。
さらに、Tシャツに反日スローガンの刺しゅうを入れたのはブラザー工業のミシン、反日広告に登場したアンティークな雰囲気のペンはパイロットコーポレーションの製品であることが明らかになるなど、日本製品不買運動が実は「日本製」によって成り立っていることが次々と露呈した。
アサヒビールとユニクロは、韓国のコンビニ、商店街、そして一般家庭でも簡単に出会える「日本製」だから、それらを排除、不買にすれば、日本製品を全て排除することができる、日本に打撃を与えることができると思い込んでいたのだ。
しかし、普段は意識することもなく当たり前に使っていたものの多くが、実は日本製だったことを思い知らされたのが、今回の不買運動という「騒ぎ」だった。
もし、日本製品の強みを認識していたなら、安易な不買運動は行わなかったかもしれない。
代案もない排斥と排除が得策ではなく、それは自己満足を得るための行為以外の何物でもないことくらいは分かったはずだからだ。
それ考えると、感情的な行動を愛国的な行為として持ち上げ、刺激的に伝えた韓国マスコミの責任は大きいと言わざるを得ない。
彼らはなぜ自分たちがソニーの放送設備を、三菱の輪転機を使っているかについて先に考えてみるべきだったのだ。
(時事通信社「金融財政ビジネス」より)
崔 碩栄(チェ・ソギョン) 1972年生まれ、韓国ソウル出身。高校時代から日本語を勉強し、大学で日本学を専攻。1999年来日し、国立大学の大学院で教育学修士号を取得。大学院修了後は劇団四季、ガンホー・オンライン・エンターテイメントなど日本の企業に勤務。その後、フリーライターとして執筆活動を続ける。著書に「韓国人が書いた 韓国が『反日国家』である本当の理由」「韓国人が書いた 韓国で行われている『反日教育』の実態」(ともに彩図社)、「『反日モンスター』はこうして作られた」(講談社+α新書)、「韓国『反日フェイク』の病理学」(小学館新書)など。